スイス生活 日常生活いろいろ

スイスチューリッヒ在。スイス歴15年目。おすすめ情報や生活情報をご紹介したいと思います。

スイスの銀行 バンキング・シークレシー

スイスに渡って、出勤初日にサインしなければいけなかったのが、バンキングシークレシーに関する同意書と、社会保険に関する書類でした。

 

バンキング・シークレシーとは、簡単に言うと、顧客に関する情報、業務上知りえた情報を、第三者にみだりに漏洩してはならない、ということです。違反した場合は、法を犯したことになり、3年以内の懲役等の恐ろしいことになってしまいます。この点が、業務上、もっとも注意している点のうちの一つです。

 

証券決済の業務上、国によっては、投資家本人の名前で証券保有口座を開設しなければならないところもあります。その場合は、投資家本人が開示されていることを理解したうえで、開設しています。反対に、成熟したマーケットの場合、オムニバス口座と呼ばれる口座で、複数の投資家の保有証券がひとつの口座にプールした状態で管理することができる国が多くあります。このオムニバス口座の場合は、証券決済機関や、間接口座管理機関では、投資家についての情報は、一斉わらかないようになっています。

バンキングシークレシーに関しては、この最終投資家の情報およびに、業務上知りえた取引に関する情報また、直接取引のあるプライベートバンク、銀行などの名前をみだりに開示することも禁止されています。


しかし、いろいろな国がマネーロンダリングやテロリストの活動を防止するため、またいろいろ投資家についての情報開示規制を設けてきており、時代も変わってきています。もちろん、テロリストや犯罪が疑われるような投資家や法人・個人は、もともとコンプライアンス上、通常、口座を開設することはできないです。 

 

株式等大量保有などの理由で投資家について開示義務がある場合や、各国の税務当局や裁判所、政府機関などから、開示を迫られることもあります。この場合は、原則、顧客本人の同意がないと決して開示できないことになっています。何か犯罪捜査などが行われている場合や、裁判所から申し立てがあった場合、必ず各口座開設機関の弁護士やコンプライアンスオフィサーがかかわり、それぞれの判断が行われます。

このバンキング・シークレシーのためもあると思いますが、書面で証拠を残す、という業務の仕方が根付いていて、現在の会社では、何かにつけて、確認・同意をEmailでやりとりするということが多いです。日本で勤務していた時は、業務も少し違いますが、メールの数がもっと少なかったです。

 

スイスのプライベートバンクなどで、口座を開設すれば、顧客情報は、がっちがちに守られています。しかし投資先のマーケットによっては開示義務や報告義務があるので、マーケットにより異なります。


この点、スイスの金融機関で勤めていて、特殊で、おもしろい点だと思います。